概算で所得税と住民税を計算する方法
こんにちは。札幌の税理士の吉田です。
無申告案件で気になることと言えば、やはり税金の額です。
どれくらいの金額になるのか、申告したはいいけど払えなくなるかも・・・、と不安はあると思います。
ざっくりとですが、計算する方法をお伝えします。
個人の所得税や住民税を求める
所得を算出する
「利益がわからないのに所得税なんてわかるの?」
と疑問があるかも知れませんが、あくまで概算です。
利益は「売上-(原価+経費)」で求めることができます。
フラットに完全現金商売で掛け売りなしで考えると利益の計算はざっくりこうなります。
「利益=生活費+貯金」
そうですね。事業の利益は、個人の生活費と貯金に回されるのです。
なので、どれだけ貯金が増えたか、どれだけ生活費がかかったかがわかれば、ざっくりと計算ができます。
たとえば、月/30万円生活費がかかっていて、年間100万円の貯金ができたとしましょう。
その場合は、「30万×12か月+100万=460万円」、これが利益として残っていなければ、この生活費と貯金はできないでしょう。
もちろん実際の商売は、売掛(後払い入金)、買掛(後払い支払い)もあるので、何とも言えませんが。それでもおおよそ合っている場合も多いです。
ひとまずこの460万円を所得としてみましょう。
所得税を計算する
所得が460万円、それから控除できる所得控除は、社会保険料控除、基礎控除はあるはずです。社会保険料は所得が申告されていないため、少額で納付通知書が届いているはずです。
そう考えると基礎控除含めて50万円くらいが所得控除になるでしょうか。これを460万円の所得から引くと、410万円
これを所得税率表に当てはめて計算するだけです。
410万円×20%-427,500円=392,500円
約40万円と計算できました。
住民税を計算する
住民税の標準税率は一律10%です。所得控除の計算方法は若干違うのですが、今回はザックリ求めるので、上記で使った410万円で計算しましょう。
410万円×10%=41万円
約40万円と計算できました。
消費税を計算する
消費税の計算は「消費税のかかる売上-消費税のかかる資産購入・仕入・経費」で計算されます。(無申告者の場合は簡易課税の届け出をしていないと想定されますので、簡易課税では計算できないことがほとんどです。)
全て消費税がかかる取引だとしたら、さきほど求めた所得(生活費+貯金)の8/108が納税額になります。
ただし、消費税のかからない経費は控除できません。その代表的なものは人件費です。
ここもざっくりと計算するので、「所得(生活費+貯金)+人件費の支払額」の8/108とします。
例えば、先ほどの例で人件費が300万円かかっていたとしましょう。
(所得460万円+人件費300万円)×8/108=56万円
これが消費税の概算です。
法人税を計算する
法人税は役員報酬控除後の利益によって計算されます。
計算がめんどくさい場合には、法人で貯めた貯金についても個人所得に加算して求めてください。
法人税と所得税・住民税は税率も違いますが、どちらかはかならず税金がかかります。
今回はザックリとですので、個人の所得に混ぜて計算してみましょう。
それとは別に法人の利益が無くても、均等割という税金がかかります。札幌市の場合、法人道民税が最低20,000円、法人市民税が最低50,000円の合計70,000円です。
複数年の場合はかなり大きくなる
単年度の計算をした後に、申告すべき年度分を乗じます。
上記の例ですと、所得税40万円、住民税40万円、消費税56万円、均等割7万円、単年度合計で143万円です。
これが5年分ですと715万円になります。
これに無申告加算税や延滞税もかかります。
かなり金額が大きくなるので、「税金をいかに低くするか」ということをしっかりと考えなくてはいけません。
少しでも納税額が抑えられるようにご指導させていただきたいと思います。
無申告・期限後申告のご相談は以下サイトをご覧ください。