無申告者の消費税納税義務について
こんにちは、税理士の吉田です。
無申告者の消費税について解説します。
消費税の納税義務とは
まず消費税の納税義務は、簡単に言いますと、2期前(2年前)の売り上げが1,000万円を超えた場合に、納税義務が生じます。
※ 消費税に関しては法律上各種細かい取り決めがありますので、必ず専門家に確認してください。
例えば、個人事業者の場合、平成30年度分に消費税の納税義務があるか否かは、その2年前の平成28年度分の売り上げを基準として考えます。
例えば長期間無申告で平成25~29年の5年間の申告をするとしましょう。
消費税はその2年前の売上で判定なので、こうなります。
・H29 → H27の売上で判定
・H28 → H26の売上で判定
・H27 → H25の売上で判定
・H26 → H24の売上で判定
・H25 → H23の売上で判定
つまり、H25~H29年の申告をするのに、H23~H24の消費税のかかる売上も集計しておかなくてはいけません。
H23~H24は申告しないから売り上げは0円、という訳にはいきません。
実際の税務調査の現場でも、H23~H24は税金の追徴はないものの、H25~H26の消費税申告が必要かどうかの「売上のみ」は集計されます。
ここは注意してください。
本則課税になることが多い
消費税には「本則課税」と「簡易課税」という計算方法があります。
簡単に言うと、
本則課税とは、「売上-(仕入+経費+資産購入)」で計算されます。
簡易課税とは、「売上-(売上×その業種の控除率)」で計算されます。
※ 簡単に伝えているだけなので、実際の細かい規定に関しては、必ず専門家の指導を受けてください。
簡易課税に関しての条件の一つとして、「その前課税期間までに簡易課税制度選択届出書の提出をすること」というものがあります。
無申告者は、簡易課税の届出は提出しているケースがほとんどありません。
ゆえに、本則課税と簡易課税との差額で数十万単位で変わることもあります。それが5年分となると、百万円を超えることもあります。
そう考えると、早めに無申告から脱出して、消費税の有利選択を行い、簡易課税が有利なら、適法に届け出をしておく。
ということが重要です。
繰り返しになりますが、簡易課税にしたいからってすぐに簡易課税で申告できません。長ければ次の年度からの適用になります。
他に課税期間を短縮させる裏技もありますが、どちらにせよ早めに申告して、最良の方法での届け出を考慮したいものです。