法人の無申告案件について
税理士の吉田です。
法人の無申告案件は少なからずあります。
法人の場合は、法務局に登記がされるので、税務署としては登記が完了次第、その情報が入ってくることになります。
申告が遅れると、税務署が登記簿謄本から会社所在地を調べ、申告がされていない旨が記載された書類が届いたり、無予告で訪問してきたりします。
ですので、法人の無申告のケースでは、必ずと言っていいほど税務署にバレることとなります。
ですが、設立後かなり時が経過しているのに、税務署にバレないケースがあるのも事実です。
法人で無申告の期間に税務署が入らなかったケース
税務署がわからないケース、色々事情が考えられそうです。例えば、
以前休眠届を出していたが、今は再稼働して法人の所得がある
休眠届(休業届ともいいます)を税務署に提出した段階で、税務署は「その会社の営業は停止している」という処理になり、その後申告されてなくても基本的に特にアクションは起こしません。
その後再稼働した場合には、原則的には再開届(名称がいいか悪いかわかりませんが)の提出をすることになります。
再開届の提出がなければ、税務署は再開の事実を確認することはかなり難しいです。
法人に関しては「登記情報」を税務署は確認しています。
逆にいうと法人の再稼働は、登記情報で確認できるものではありません。
別アプローチでやっと見つかる、という感じだと思います。
最新の登記簿謄本に記載された住所に会社がない
謄本に記載された住所は設立時の住所です。その後の変更については、登記変更しない限り、変わることはありません。
ですので、住所を移転しても登記変更していなければわかる術はありません。
そもそも登記されている事項に変更があった場合、法務局に登記しなければ過料がかかりますので、余計な支出が増えてしまいます。
なぜか連絡がこない
このパターン、多いかも知れませんね。
税務署の職員はけっこう忙しいのです。無申告である法人は本当に休眠している会社を含めて相当数あると想定されます。
会社も1円から作れるので、法人数が多いのは明白です。
「最初は税務署から連絡きていたけど、そのうち来なくなった」
という事例もままあります。
税務署だからといって、すべてが完璧に、ということも難しいのでしょうね。税務署も人の集まりなので。
税務署が法人無申告を把握する場合
法人無申告でも税務署の方はその実態をつかもうと色々と策を講じています。
反面調査
取引は基本的に2社間のやりとりになりますので、例えばA社が仕入れをならB社は売上があがります。
取引を行った相手の帳簿には必ず「いつ、だれに、いくら、どういう内容で」という記載がされています。
その記載内容は税務署も全部とは言えませんが把握はしています。
その中で相手先の情報を知りたいときは、税務署のデータベースでまず紹介を掛け、情報を確認します。
もちろんその情報には会社の申告状況もわかるので、「取引があるのに申告されていない」となると、税務調査の対象にあがってきてしまいます。
インターネット検索
無申告法人の申告を促すため、インターネットで情報を集めたりもします。
最近多いのは求人情報を出すと、求人会社のサイトの他に、様々なサイトに勝手に拡散されてしまい、インターネット上に履歴が残ります。
仮に謄本が古い住所だったとしても、さすがに求人情報は最新の住所を書いているはずなので、そこからバレることもあります。
その他にも情報収集は色々ありますが、割愛します。
まとめ
法人は登記情報から税務署が実態をつかみやすい反面、一度わからなくなると長期間見つからないことになる可能性もあります。
どちらにしても、税務署に見つかる前に申告すると、ペナルティも少なくて済みますので、結果的に安あがりです。
まずはきちんと申告を行い、無申告状態から脱却しましょう。