無申告者がインボイス登録するには
こんにちは税理士の吉田です。
取引先からもらう請求書、領収書にT+13桁のインボイス登録番号が付くようになって既に8か月。
大分インボイス制度が浸透してきた感がありますが、インボイス登録をしていない業者さんもまま見受けられます。
無申告者にとってどうやってインボイス登録をすればよいのか、書いていきたいと思います。
インボイス登録の手順
インボイス登録申請を行う
インボイス登録するには、まずインボイス登録申請を税務署に行う必要があります。
正式名称は「適格請求書発行事業者の登録申請書」という書類になります。
登録を希望日の15日前の日までに登録申請書を提出する必要があります。
例えば、12/17に提出した場合最短で、翌年1/1を登録希望日にすることができます。
※免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には消費税課税事業者選択届出書の提出は不要です。
D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)
登録通知が届くのを待つ
登録申請書を提出したら一定期間後に登録通知が届きます。(e-tax申請の場合はe-taxにて受領可能)
登録通知時期の目安として、国税庁からの情報では、e-taxの場合は約1か月、書面提出の場合は約1.5か月程度かかるとのことです。
以前申請したケースではe-taxで2週間かからなかったこともあり、体感としてはかなり早いイメージはあります。
【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)
請求書等への記載について
請求書等への記載方法
登録通知が届いたら請求書等の様式に登録番号を記載します。
また、軽減税率適用商品等を明らかにすること、10%対象額及びその消費税・8%対象額及びその消費税を明らかにすることも必要です。
以下のサイトの14ページ目に留意点が記載されています。
取引先への請求書等の差し替え
インボイス発行事業者の効力は登録希望日(実際の登録日)から遡って適用されます。
登録希望日(実際の登録日)以後にインボイス要件を満たしていない請求書等を発行した場合は、インボイス要件を満たした適格請求書に差し替えが必要になります。
取引先に連絡し、インボイス要件を満たす適格請求書の差し替えを行ってください。
消費税の納税
課税事業者の場合
課税事業者の場合はインボイス登録に関わらず、通常通り消費税の申告納付を行います。
免税事業者の場合
免税事業者でインボイス登録により課税事業者になる場合は、登録日以降の消費税の申告が必要となります。
例えば1/1~12/31の事業年度の場合で6/1が登録日の場合、6/1~12/31までの期間から消費税の申告納付が必要になります。
また、免税事業者の場合のみ、本則課税か2割特例を申告時に選択できます。
※簡易課税の適用を受けている場合は、簡易課税か2割特例を申告時に選択できます。)
2割特例は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間に適用することができます。
※2割特例の納税額は、売上はその他収入の消費税のかかる売上(収入)の2割分の消費税を納める制度です。
無申告の解消を早めに
無申告者がインボイス登録申請を行った場合は、税務署側から見たときに「インボイス登録申請しか提出が無い状態」になっています。
通常インボイス登録申請を行った事業者で法人決算申告や個人確定申告を行っていないことはあまり考えられませんので、申告すべき所得があるかどうかの確認がされる可能性は高いでしょう。
一刻も早く無申告年分の申告をされると良いと思います。
無申告加算税は自主申告で本税の5/100ですが、税務調査の場合は15~20/100と3~4倍に膨れ上がります。
また、自主申告をした場合は無申告状態の時よりも当然税務調査の可能性は低くなると思います。
まずは無申告の解消を早期にできるよう準備をしていった方が良いと思います。
まとめ
・インボイスの登録申請を早めに行う。
・登録後は登録番号等の請求書等への記載、取引先へ請求書等の差し替えを行う。
・税務調査に発展する前に自主申告で無申告を解消
小規模事業でもインボイス登録している事業者は多く、特にBtoBではインボイス登録が必須になっている状況も見受けられます。
円滑な取引継続のためにも早めに対応された方が良いと思います。